台風の目を探す

皆さま、こんにちは。
冒頭の写真は先週撮った新宿御苑の大きな金木犀です。
今年は季節の進みが遅いのか、10月になっても金木犀が香らないのでどうしたのかな~と思って待っていました。
私が今年初めて金木犀の香りを嗅いだのは2週間前の台風19号上陸の翌日でした。
大きな爪痕を残して去って行った台風のすぐ後にほんのり甘い香りが漂うのはちょっと皮肉な感じがするなぁと思うとともに、人間が右往左往しているのとは次元の違う大自然の営みに畏敬の念を感じるという複雑な心境でした。

あれから約2週間経ちましたが、今日も広い範囲で大雨となっており、復旧途中/復旧したての各地の再被害が心配です。

これまでは災害というと主に地震を想定していた感じがありますが、今回のような水害が起こりそうになると指定された避難所の多くが使えない事態ともなることが分かり、これから新たな災害対策が必要になってきますね。

気候変動に伴って、これからは大きな自然災害は当たり前になってくるのかもしれません。

これからの災害対策として自分でできること(食料・飲料・非常持ち出し袋、避難場所・避難経路・安否確認方法の確認など)は万全に準備すると共に、心の準備もしておきたいですね。

「心の準備」としては、まず危機的な出来事に見舞われた人の心に何が起こるかを知っておくことと、どんなことがサポートになるかを知っておくとよいと思います。

ショッキングな出来事に遭うと、人間の心は強い衝撃を受けて様々なストレス反応(急性ストレス反応)が起こります。
出来事が繰り返し思い出されたり(フラッシュバック)、ちょっとした刺激で「また起こるのではないか」と怖くなったり(予期不安)、悪夢を見たりします。
また、あまりの怖さに心が麻痺して何も感情を感じない、頭が真っ白になって何も考えられないような状態になることもあります。
神経が過敏になって、眠れなくなったり、ちょっとしたことで怒りやすくなったり、驚きやすくなったりもします。

このような反応は普通は2日~4週間以内には消えていくものです。4週間以上にわたって症状が続く場合は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断されて、医療的ケアが必要になってきます。

ですので、このような反応が起こったときに「ああ、これが衝撃後のストレス反応なんだ」と思うことができ、そのうちに元に戻るいうことを知ることで、少し不安が軽くなり、自己コントロール感覚を取り戻すことができます。

誰にでも起こる急性ストレス反応をPTSDなどの病気へと移行させないためには、なるべくご家族や友人・近隣の方々とお互いにコミュニケーションを取り合いましょう。人と共にいるという感覚が心を支えることになり、逆に孤立する感覚が一番怖れを強くします。

眠れないときは、無理に眠ろうと努力するよりも、だた横になるだけでも身体は休まります。
そして、必要な時には無理をしないで身近な人や専門家に相談しましょう。

最後に、私が特にお伝えしたい心の事前準備とは、普段から自分の中の静けさとつながる習慣をつけておくことです。

台風でいうと、台風の外側は激しい暴風雨が吹き荒れていてもその中心にある台風の目は常に静かです。
私たちの心も、感情的にどんなに取り乱していてもその奥には台風の目のように静かな部分が必ずあります。
暴風雨に焦点を当てるのか、台風の目の静けさに焦点を当てるのか、私たちは選ぶことができるのです。

その感覚を鍛えるための方法は、古来からある方法としたら例えば座禅です。
座って、丹田に意識を置き続けます。
現代的に言えば、マインドフルネスのエクササイズを続けることが役に立つのではないかと思います。
いつも自分の呼吸に意識を向けます。
動揺するような出来事が起こっても、そういう時こそ出来事に巻き込まれそうになる心を呼吸に戻すという訓練をします。
長く続けるうちに、何が起こっても静かに観察する意識が育ってきます。
「肚が据わる」感覚です。

究極は禅僧の良寛さんの言葉に象徴されるような心境になるでしょう。

「災難に逢う時節には災難に逢うがよく候
死ぬる時節には死ぬがよく候
是はこれ災難をのがるゝ妙法にて候」

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