普通であることの勇気
ブログ、久々の更新になってしまいましたが、このところ新宿御苑はすっかり秋の景色となりました。
御苑のシンボルでもあるユリノキや銀杏が色づいています。
銀杏の木は園内にたくさんあって、今まさに見頃を迎えている木とまだまだこれから色づくのと様々です。
同じ種類の木でも成長のペース、いのちのリズムはそれぞれ。
私たちも自分のペースを大切にして生きていきたいものです。
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さて、今日は岸見一郎氏の『アドラー心理学入門』から私にとって印象深かったところをご紹介したいと思います。
アルフレッド・アドラーは世界的にはフロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされながら、日本国内ではあまりその名前を聞くことはなかったですが、近年『嫌われる勇気』がベストセラーになって以降、ちょっとしたブームとなっているかもしれませんね。
私も最近まであまり興味なかったのですが、アドラーについて読んでみるととても共感できるし、やはり生きる勇気をもらえる気がします。
アドラーの考えは「心理学」というよりは「哲学」に近い、「いかに生きるか」ということに強く関わっていると思います。
『嫌われる勇気』の後には『幸せになる勇気』という本も出版されてますが、私がいいなと思ったのは「普通であることの勇気」です。
アドラーによれば、人は優れていることを目標とするということが最初にあって、その結果として劣等感を持つ。
「優れていたいと願うことは必ずしも人間にとって本質的なことではなく、それ自体病的なことである」と考えるのです。
すなわち、ことさらに他の人よりも優れていなければならないと考える優越性の追求を「優越コンプレックス」、そしてこれの対となるのが「劣等コンプレックス」であるといいます。
この本の中では、著者の岸見一郎氏がオスカー・クリステンセンの講演を聴いたときのことが書いてあります。
(クリステンセンはアドラーの弟子ドライカースの弟子にあたります。)
クリステンセンがドライカース教授について学んでいた時、アドラー心理学と他の心理学との比較考察をせよという課題が出て、クリステンセンは20枚ものレポートを書きました。
それに対してドライカース教授は「こんなにたくさんのレポートを書いたのは<なぜ>かね?」と質問しました(ちなみにそのときの課題は2枚書けばよかったのです。)
クリステンセンが「比較考察に非常に興味を覚えたからです」と答えると、教授は、
「いや、それは違う。君はただ僕に自分を印象づけようとしただけだ。
しかし、君は今のままで十分いいのだから、こんなことをしなくてもいいのだよ」
と言ったのだそうです。
この話を聞いた岸見氏は、その直前に自分がした行動についてある気付きが起こりました。
岸見氏は、この講演会に「通訳をしないか?」と頼まれて参加したのだけれど、実際には自分の出番が全然なく居心地の悪い思いをしており、クリステンセンの先の話の直前に、わざわざ英語で、あることを質問していたのでした。
だから、クリステンセンがこの話をしたのは自分に向けてのことだったと思ったそうです。
岸見氏は、英語を使って質問をすることで、聴衆に自分のことを印象づけたかったのだと気がついたのです。
自分を振り返ってみると、こういうことをよくやっていないでしょうか?
自分が優れていることを証明しようとして躍起になる。
そうしないと、自分がその場で必要とされている人間と思えないので不安になる。
いつもそんな風に生きているととても疲れてしまいます。
そういう行動が行き過ぎると、自分ばかりでなく周りの人まで疲れることにもなってしまいますね。
自己承認欲求の強い、痛い人になってしまう。
自分が優れていることを証明する必要などなく、あなたはここにあるがままに存在するだけでいいんだよ、ということを感じられるようになると体から力が抜けてリラックスしていられるようになります。
現代社会は、社会全体が優越コンプレックスにかられているようなところがあるので、自分だけ普通でいいんだと思えるようになるのもなかなか難しいですが、自分が必死になっている瞬間に「あっ、今、自分は優越コンプレックスにかられて行動してるな」と気づくだけで、そのまま緊張して努力し続けるのか、別に特別な人にならなくていいんだと肩の荷を下ろすことができるか、選ぶことができます。
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