権威に服従してしまう心理

今、新宿御苑のあちこちで一番目につくのはドクダミのお花。
ドクダミってどこにも咲いていて、しかも結構家の裏手のジメっとしているところに咲いている印象があって、あまり有難みを感じにくいですが、健康のためにはとても効能のある植物なんですよね。
今度、ドクダミ茶を飲んでみようかな。

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さて、最近、日大アメフト部の選手の反則行為と当該選手の謝罪会見、そして監督・コーチ・大学側の対応についてマスコミで大きく報道されて、社会問題化していますね。

反則行為は犯したものの、その後の真摯に謝罪する姿に同情と好感を与えた選手に対して、どこまでも自分の責任を認めようとしない権威側に対して、批判の声が大きくなっています。

そこで、一緒になって誰かを批判するのは簡単なのですが、こういう事件に接した時に、自分だったらどうしただろうか?と自分に引き付けて考えてみることが大切ではないかと思います。

あなたがあの選手だったらどうしたでしょうか?

人間は、閉ざされた環境の中では簡単に権威に従って、残虐な行為を犯してしまう傾向があることを証明する有名な心理学実験があります。

その実験はアメリカ、イェール大学の心理学者スタンリー・ミルグラムが1963年にアメリカの社会心理学会誌『Journal of Abnormal and Social Psychology』に投稿したもので、「ミルグラム実験」と呼ばれています。

「第二次世界大戦中、ヨーロッパでは約600万人といわれるユダヤ人が強制収容所に送り込まれて虐殺された。1960年、当時ゲシュタポのユダヤ課長であったアドルフ・アイヒマンは亡命先の南米ブエノスアイレスで逮捕され、イスラエルで裁判を受けた。判決は死刑そして1962年5月31日、刑は執行されたのである。彼は裁判中「私はただ上官の命令に従っただけだ」と一貫して主張し続けた。

法律的にはともかく、心理学的には、彼の主張にも一片の真理があった。それを示したのがミルグラムの実験である。

ミルグラムは新聞を通じて「記憶に及ぼす罰の効果」に関する実験に参加してくれる被験者を募った。被験者はごく平凡な市民である。2人の被験者が実験室にやってくると、それぞれ生徒と教師の役を指定された。生徒は椅子に縛りつけられ、手首に電気ショックを送るための電極がとりつけられた。一方、教師は隣の部屋でショック送電器を操作するように言われた。送電器には30個のスイッチがあり、それぞれ電圧と電圧に対応するショックの強さが表示されていた。

 実験者は生徒に対連合学習を行わせ、生徒が誤った答えをするたびに、一段ずつ強いショックを与えるよう教師に要請したのである。この実験で生徒になったのは実は実験協力者であり、それぞれのショックの強さに応じて痛がったり実験の中止を訴える演技をするように指示されていた。

また、実験者は教師がショックを送ることをためらった時には、実験のためにショックを送り続けるように要請した。常識的に考えれば、たとえ実験のためとは言え、200ボルト以上のショックを与えることは人を傷つける恐れがあり、人道的にためらわれるところであろう。ところが、実際には教師になった被験者の62.5%が最大450ボルトのショックまで与え続けたのである。
 

この結果は平凡な一般市民であっても権威ある者からの命令に接すると、たとえ不合理な命令であろうと、みずからの常識的な判断を放棄して、その命令に服従してしまうことを示している。」『図説心理学入門』(斉藤 勇著、誠信書房) 

アメフトの問題に限らず、現在話題になっている財務省の公的文書の書き換えや隠蔽問題や、命令されてサリンを撒いてしまったオウム真理教の信者、社長に命令されて粉飾決済をしてしまう経理課長等にも同様の心理が働いているということでしょう。

社会に適応するために両親や周りの大人の期待に従って行動する条件付けが幼児期の自我に組み込まれ、真面目な人ほど権威の前では盲目的に従ってしまって、時には大きな反社会的行為にまでなってしまう。

では、どうすればいいんだろう?

ひとつには日頃から人の言うことを鵜呑みにしない、自分で考える習慣をつけたいものです。

そして、人から何かを言われた時に自分の内側で起こる繊細な感覚に敏感でありたいものです。
選手の中には「そんなことはしたくない」という気持ちがあったはずです。
でも、その心の声に十分に耳を澄ますことをしないと、段々と自分の心の声は聞こえなくなってしまいます。

できれば自分がいつも一緒にいる人間関係や場所からときどきは離れる時間を持ち、いつもの自分を離れたところから客観的に眺めてみたり、様々な考えの人たちと交流を持って、いろいろと違った視点から物事を観察してみるのもよさそうですね。

そして、人間にはこういう心理的傾向があることを知って、自分の行動や考えに対して常に自覚的でありたいなと思います。

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