鳥は卵から出ようともがく

今朝の新宿御苑、空気はとても澄んでいて、楓の紅葉が美しいです。

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鳥は卵から出ようとしてもがく。
卵は世界だ。
生まれ出ようとするものはひとつの世界を破壊しなければならぬ。
鳥は神の下へ飛んで行く。
その神の名は、アブラクサス。
(ヘルマン・ヘッセ『デーミアン』(常木実訳)より)

突然ですが、私の大好きなヘルマン・ヘッセの小説『デミアン(デーミアン)』から、とても印象に残っている部分の引用です。

ヘッセといえばノーベル文学賞ももらった文豪ですが、ヘッセの作品で有名なのは『車輪の下』とかで、『デミアン』はあまり知られていないかもしれません。

『車輪の下』は、とても繊細な少年が社会という車輪に押しつぶされてしまうような苦しさを感じる作品ですが、『デミアン』以降、ヘッセの精神は大きく変容したように私には感じられるのです。

ヘッセは若い頃から心を病んでいました。
うつ病だったとか、境界性パーソナリティー障害だったとか、愛着障害だったとか、言われています。

『デミアン』を書く前の1~2年(2~3年?)、ヘッセは精神分析医ユングの弟子から精神分析を受け続けていました。
そしてある日、ユング自身と会う機会があり、ユングとの出逢いの直後に見た夢から得たインスピレーションに基づいて書かれたのが『デミアン』です。

冒頭の引用文はその作品の中でもひとつのクライマックス的な出来事に関連して出て来る言葉なのですが、とても深い真実を表していると思うので、ご紹介したくなりました。

人は深い悩みの中にある時、とても苦しいですね。

でも、それはこれまでの生き方が窮屈になって、こまでの古い自分が死んで、新しい自分が生まれ出る必要があって、そこに直面しているということです。

日本語にはとても素晴らしい言葉があります。

「産みの苦しみ」

カウンセラーはその、産みの苦しみを肩代わりすることはできません。

ただ、一緒に寄り添います。

お産婆さんのように。(言葉が古い? では、助産師さんのように)

苦しい陣痛の後には、新しいいのちの誕生が待っています。

心も生まれ変わります。

作品中に出て来る「アブラクサス」という神は、「善も悪も両方受け入れてくれる神」です。

善悪の判断をせず、ただあるがままを受け入れてくれる神です。

ここで言っているのは何も特定の神様の話ではありません。

あなたの心の中に、善悪の判断をしない気づきの意識が生まれ広がるにつれて、安心な感覚、自由な感覚、生きる喜び等が感じられるようになってくるということです。

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