複雑な気持ちを抱えて生きる
先週末から10月とは思えない寒い雨の日が続いていますね。
これではさすがに御苑散歩もあきらめました。
でも、雨の日でも新宿御苑を楽しむ方法があります。
新宿門脇にあるカフェ「はなのき」。
ここは入場料を払わなくても利用できて、御苑の緑を見ながら食事ができます。
メニューは簡単なものだけですが、私にとっては御苑の緑が何よりのごちそうです(*^^*)
写真に写ってるのはドライカレー。トマトの味が強いミートソースっぽいお味です。
★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜
さて、先日、2017年度のノーベル賞の発表がありました。
中でも私が興味があるのはノーベル文学賞です。
村上春樹氏がこのところ何年も候補に上りながら今年も受賞できませんでしたが、きっと春樹氏は何も気にしていないんだろうなと想像します。
私は春樹氏のファンですが、彼のような自分軸がしっかりしている生き方は私のあこがれです。
結局受賞したのは日系イギリス人のカズオ・イシグロ氏でした。
私はイシグロ氏の名前だけは知っていて、どこで知ったんだっけな~と思ったら、春樹氏のエッセイの中ででした。
春樹氏がイシグロ氏の作品を「最近読んでノックアウトされた」と書いていたのを思い出しました。
それで、イシグロ氏の代表作の名前を聞いて思い出したのは、『日の名残り』と『私をはなさないで』というふたつの映画を観たことがあるということでした。
恥ずかしながら、それらの映画の原作がイシグロ氏だとは全然知りませんでした。
そして、そのふたつの映画を観たことを誰にも話していなかったような気がしました。
それは、感想を言葉にできなかったから、かもしれません。
『日の名残り』は1994年公開だからだいぶ古いです。
名優アンソニー・ホプキンスがとても抑制の効いた渋い演技を見せていて、映画を観終わった後は何とも言えない切ない気持ちになったのを覚えています。
『私を離さないで』の方は、2011年公開なので割と新しいですが、臓器提供のためだけにクローンとして生み出され育てられている若者たちがいて、彼らは臓器摘出が終われば死ぬだけという恐ろしい架空世界の中の話です。
そんな絶望的な世界で人間的な感情を持ってしまった若者たちの心の動きを描いた作品で、見終わった後はこれまた言葉を無くすしかありませんでした。
ハリウッド的なハッピーエンドやヒロイックなカタルシスや解決はありません。
「悲しい」とか「つらい」とか、言葉にしてしまうとどこか薄ぺっらくなってしまう。
ただ、言葉にならない重く深いものを内側に受け止めるしかない。
カウンセリングの場において、問題が解決して、あ~スッキリ!となることもあります。
でも、中にはどうにもならない状況というものもあります。
カウンセリングにおいても大切なのは自分の中の苦しい感情や葛藤を無くそうとするよりも、どんな感情でも葛藤でも、それらをそのまま抱えていられるような心の器を育てていくことかもしれない、と思っています。
そういう心の器を育てるために、文学に接するのはとても役に立つと思います。
心理学の本を読むよりも役に立つ気がします。
ところで、イシグロ氏のノーベル文学賞受賞の理由は「壮大な感情の力を持った小説を通し、世界と結びついているという、我々の幻想的感覚に隠された深淵を暴いた」というものでした。
難しくて、なんだかわかったようなわからないような・・・、いや、わからないですね(^^;
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