父性というもの

今日の新宿も良いお天気です。今日の新宿御苑で見つけたお花はナツツバキ。





ナツツバキは戸建て住宅やマンションの玄関先でよく見かけますが、新宿御苑の広々としたスペースに育つナツツバキは私がこれまで見た中で一番伸び伸びと枝を広げていました。



樹木も人も、その環境によって育ち方はずいぶんと違ってくるものです。



人の環境の中でもっとも重要なのはやはり家族、特に幼い頃の両親との関係ではないかと思います。



先月はお母さんとの関係について書きましたが、今日は今週末の父の日に因んで、父親の機能について書いてみます。





母性の特徴は、河合隼雄氏の『母性社会日本の病理』によれば、「包含する」機能です。全てのものを良きにつけ悪しきにつけ包み込んでしまい、そこでは全てのものが絶対的な平等性を持ちます。「我が子である限り」すべて平等に可愛いのであり、それは子供の個性や能力とは関係がないのです。



それに対して父親とはどんな存在なのでしょうか?



岡田尊司氏『父という病』によると、生物的な観点から見て子育てに父親がかかわる種は、哺乳類全体の3%程度だとそうです。

しかも父親が妻子と暮らし、子供の養育にかかわることは人間に特異的に進化した人間らしい特性のようです。



父性機能は、農耕・牧畜が始まって以来強化されていきました。



「農耕生活では高度に組織化された社会的協力や蓄積された富をめぐる集団間の組織的な戦闘が起こるようになり、社会の掟やルールに沿った行動様式を身に着ける必要が強まった。父親は家父長として一家を率いるとともに、子供に共同体の掟を教え、一人前の構成員に育て上げるという役割を担うようになった。

こうした父権的な社会では、父親は畏怖すべき絶対の存在であり、一家のリーダーであると同時に教育者であり、精神的な支柱であった。」(『父という病』)



ユング心理学では、父性原理の特徴は、「切断する」機能です。すべてのものを切断し分割する。主体と客体、善と悪、上と下などに分類します。母性がすべての子供を平等に扱うのに対して、父性は子供を能力や個性に応じて分類します。このようにして子供を鍛え、強いものをつくりあげてゆく建設的な面と、また逆に切断の力が強すぎると破壊に至ってしまう面と、両面を備えているのですね。



子供の健全な成長には母性・父性、両方ともがバランスよく子供に降り注がれる必要があります。



理想は、健全な母性の土台の上に健全な父性が立ち現れることでしょうか。



「何もしなくても、あなたはそのままで愛される価値がある」というメッセージを母からたっぷりともらった上で、社会の中で自分を厳しく鍛え律していく力を父親の存在からもらえるといいですね。



ところが、困ったことに、近代工業化社会の到来によってリーダーであるべき父親は工場や会社組織に吸い取られてしまい、子供の前からいなくなってしまいました。





母子密着が強すぎることで母親に飲み込まれてしまう子供は、時に不登校や引きこもりなどの問題に陥ってしまうこともあります。



現代のお父さんたちに家庭の中でのリーダーとしての力を取り戻していただきたいものです。




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