真央ちゃんの引退によせて
今日の新宿御苑は八重桜が満開を迎えていました。
園内には500本の八重桜があるそうで、レストハウス近辺はあたり一面ピンク、ピンク、ピンク。
ソメイヨシノのお花見シーズンの喧騒が去って、園内は落ち着いてお花見を楽しめる雰囲気でした。
これからは一般のお花見ウィークから1~2週間遅らせて、八重桜をお花見の定番にするのも悪くないかな、と思いました。
さて、先週、フィギュアスケートの浅田真央ちゃんが引退宣言をされましたね。
真央ちゃんのニュースに接して私が個人的に思ったことを書いてみます。
私は真央ちゃんがフィギュア界に彗星のごとく登場し大人気になった頃には彼女について特になんの興味も持てませんでした。
天才少女、いつも笑顔で天真爛漫でみんなの注目の的。
そういう人に、私はあまり興味を持てません。
でも、そんな私が彼女を好きになったのはバンクーバー5輪の滑りを見たときからでした。
それまでの真央ちゃんの明るいイメージとは打って変わったラフマニノフの重い曲に乗ってのスケーティング。
日本中から金メダルを期待され、ライバル・キム・ヨナ選手とトップを競うプレッシャーの中で、2回ミスをしてしまいました。
ミスした後のスパイラルのときの彼女の鬼気迫る表情がとても印象的でした。
苦悶の表情にも見えました。
でも、そのときに、私は真央ちゃんの根源的な強さを見たような気がしたのです。
これまで真央ちゃんはエリートすぎてあまり感情移入できなかったけれど、あの苦しみを表すような表情を見たとき、私も一緒に苦しんで、ああ、これで真央ちゃんはひとまわり大きくなったのだなぁと思ったのです。
ところで、その時表彰台で銀メダルを首にかけた真央ちゃんの悔しそうな表情がまたとても印象的でした。
銀メダルといったら世界で2位です。
全世界に何万、何十万、何百万人(?)というフィギュア人口の本当にトップレベル。
普通の人から見たらなんとも羨ましいような業績です。
でも、本人の中では金メダルでなければ意味がなかったのですね。
そこから、人にとっての満足感、幸せってなんだろう?と考えます。
もしあの時金メダルを取れていたら、それはそれは嬉しかったでしょうが、喜びは束の間、今度は後を追ってくるライバルにその座を奪われてしまうことに戦々恐々としなければならなかったかもしれません。
このように、他人と競うことには終わりがなく、なかなか幸福感は感じられないものではないかと思います。
時は経って4年後のソチ5輪、今度こそ、と本人も日本国民も金メダルに期待を寄せましたね。
でも、まさかのショートプログラムでの16位スタート。
だれもがメダルを絶望視しました。
そして翌日のフリーでの完璧・感動的な演技には真央ちゃん本人も涙していました。
4年前の涙とこの時の涙、中身は全然違ったものでした。
真央ちゃんは、メダルが絶望的になった時に、人からの期待から解放されて、競争という外側の戦いからも解放されて、とにかく自分が自分で納得できる演技をすることのみに集中できたのではないでしょうか。
身体の軸だけではなくて、しっかり自分の心の軸をつかむことができたのかな、などと想像するのです。
真央ちゃんはその後も引退するかどうか迷い、一度は復帰して自分ができるところまでやりきりました。
引退を決心するまではきっとずいぶん心の葛藤があったのだろうと思います。
もっと頑張りたい。
でも、もうこれ以上は頑張れない。
きっとこのふたつの間を行ったり来たりすることを繰り返したのでは・・・
そして、その二つの気持ちに折り合いがついたのですね。
引退会見の席での真央ちゃんの表情は清々しいものがありました。
人の幸せは外側の結果では決して決められるものではありません。
自分の心の状態、自分で自分に対していかにOKが出せるかです。
真央ちゃん、まだ若干26歳です。
これからどんな素敵な女性になっていくか、これからの活躍が楽しみです。
もちろん競争を否定するつもりはありません。切磋琢磨という言葉もありますし。
ただ、最初は自分が心からやりたいと思って始めたことが、いつの間にか人の期待に応えることにのみ重心が置かれるようになって、苦しいという気持ちがあったとしたら、ちょっと時間を取って自分の内側と対話してみるといいかもしませんね。
こんな時にカウンセリングを受けてみられるのもよいかもしれません。
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